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ことわざから見る中日韓異文化理解

2016-07-05 06:28:32金仁子
儷人·教師版 2016年11期
關鍵詞:文化

金仁子

日本の人々が韓國人によく尋ねることのひとつに「韓國では狗肉を食べているでしょう?」がある。つまり狗肉を平気で食べている韓國人を日本人はたいへん不思議に思うみたい。しかし、これに対して中國人はどうでもいいという感じだ。犬に関することわざが韓國と日本では一位も占めていて中國では3位を占めていることから昔から三カ國の人々の生活は犬と密接な関わりがあったことが分かる。

本論では犬に関することわざをつうじて昔からの三カ國の人々の犬に託された考え方や見方を考察することにする。更に犬に関することわざをつうじて韓國、中國、日本三ヶ國の異文化理解を試みることにした。

ことわざは短い言葉で教訓や風刺、心理を巧みに表現し、成立時期も作家も不明のままに語り伝えられてきたものである。それだけに、その國の人々の固有の価値観、人生哲學をよく反映していると言える。

犬と言えば韓國では蔑視の象徴と言える動物である。けんかをすれば必ずと言ってよいほど「犬餓鬼」と叫ぶ。かなり品のない表現とされるが、教養ある人と思しき方も興奮するとこの言葉を叫ぶ。だから「犬にも価しないやつだ」<犬ほどにもできない、いたらないやつだ>、と言えばそのひとの人格を無視することになる。

また、「犬の値段だ」とか「犬の夢だ」とか「犬恥をかいた」など値段、夢、恥と言った言葉の前に犬をつけると貶める意味合いとなる。たとえば「犬の値段だ」は安物であることを意味し、「犬の夢だ」は果たし得ないと分かっている無駄な夢、あるいはどうと言うこともないくだらない夢を見たときを言うし、「犬恥をかいた」は、もうこれ以上の恥はないと言うくらいの最悪の恥をかいたときに使う。このように犬はほとんど蔑すまられ、「犬と知り合ったとも同じだ」<ひどいやつと知り合った>、「一家のけんかは犬のけんか」<身內同士のけんかは醜い>、「犬のおしゃべりだけする」<むだ口をたたく>と言うように物事の悪をいう時もよく引き合いに出される。

「糞にまみれた犬が糠にまみれた犬をしかる」は自分の非あるいは醜さばかりを挙げたてることを言う。

このように韓國で犬は人々からさんざんばかにされ、あげくのはては食べられてしまうのだ。夏ばて防止に食べる「補身湯」は特に男性に好まれている。「伏の日に犬うたれるごとし」<真夏の犬打たれるごとし>などは人も責められたり叱られたりしてひどい目にあうことがあるがそんなあわれな姿を犬に比喩している。

中國人にとって犬は「主人に忠実」という良いイメージが三割、殘り七割は「弱いものいじめをする劣等な動物」という悪いイメージになる。

良い犬のことわざで現在でもよく使われるのが「うさぎが死んで犬が煮殺され」であるがすばしこいうさぎが死ねばよい犬は不要になりころされる。つまりこの場合の犬は役にたつ物になるわけだ。また犬が「主人に忠実」ということから「息子は母の不細工を嫌わず、犬は主人の貧しさを嫌わない」<真実の情の例え>もある。

一方、悪い犬は人をかむ犬だが、いやらしいことにことわざの中の犬がかむのは乞食、貧者などの弱ものであり、金持ちや権力者などにはかみつかない。そこから品性下劣な最低のやつ、素質の劣る者やその行為を風刺した諺が多くある。「人は金持ちを敬い、犬は乞食人をかむ」<相手の地位や財産で態度を変えるたとえ>。それから「犬は大便をする人をかまず、役人は賄賂を贈る人を打たない」<舊時、役人が付け屆けをする人を罰しないことをいう>は役人が賄賂を要求することへの民の憎悪、嫌悪がよく伝わる。こういったわるい犬は打ち殺されてしかるべきだが「犬をうつには主人をみてから」<召使を懲罰するときはその主人の面子を考慮する教訓>もある。しかし人はこんな犬に嫌われることがある。「犬の切り盛りを三年すれば犬にも嫌われる」はしっかりした管理者は犬にさえ煙たがれる例えである。

日本ももちろん、韓國、中國と同様、犬を蔑むことわざが多く、「犬のかけ尿」<なんでも手當たりしだいに手をつけて働くこと>や「犬の糞説教」<他人の考えを盜用して自分が考えたことのように言う>など犬にとってはありがたくないたとえがある。

しかし「犬は守り防ぐつとめ、人にも勝りたれば、必ずあるべし。」のように犬の役割を高く評価している。「犬も朋輩、鷹も朋輩」は<同じ主人に仕える以上、役目や地位は違っても同僚であることは変わらないと言う意味>である。また「犬を張り棒で打つと折れる」<心張り棒は戸口の戸締りに使う棒のことで、殘酷な仕打ちをいましめていう>とか「犬を殺せば七代祟る」といったことわざもある。

このように日本では、犬を蔑む一方ではなく、犬の役割や存在を肯定的に見る一面がうかがわれる。家々の表札には、苗字をいただいた犬の名があり、まさに「犬は家族の一人」である。

犬は韓國では仲間に入れてもらえなかった外世界の存在であったに比べ、中國では家や組織の最下層で、そこの主人に忠実であることをもって生存を容認されている存在であった。韓國、日本のように「飼い犬に手をかまれる」に相當する諺はない。

一方、日本では犬は生涯の伴侶として大切に扱われ、飼い主の溢れる愛情は、犬語を理解するためのバウリンガルなる機器も発明させた。

犬に託された三ヶ國の人々の見方や考え方の違いが底流にあったからこそ、その生活習慣も異なるわけだ。

各集団あるいは社會は、それぞれその民族的、地理的、歴史的、宗教的な環境に合わせて自ずから獨自の文化を形成するようになるのだが、このように文化というものがその出発點から相対的なものである以上自分たちの文化と異なるという理由だけで他の文化を非難することはできないはずである。西歐の食文化には頑として異なる食文化を認めようとしない傾向がつよいが自らの食べ物を絶対的な基準として他人の食べ物をあげつらうというほど驕慢で愚かなことはないと言わなければなるまい。

中國、日本、韓國は自分たちの文化に自負と信頼を持たねばならない。

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